第23話 「ミツバチは今年最後の産卵です」の巻


★ もくじ ★━━━━━━━━━━━★

1.精油のお話 1(精油の蒸留を始めるまで)
2.ミツバチは最後の産卵期、これから蜂団子ができます
2.ミツバチの「8の字ダンス」のお話

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1.精油のお話 1(精油の蒸留を始めるまで)



 養蜂は春から秋にかけてはバカみたいにいそがしいのですが、寒くなってくると少し時間ができます。 その時間に何かできないかと、色々考えていたところ、ふと「ネムノキ」のことを思い出しました。

 ネムノキってご存じですか。マメ科の樹木で、日本に広く自生しています。6月になると濃淡のあるピンク色の美しい花を咲かせます。その花が咲いている時期に木の下を通ると、えも言えぬ甘い香りが漂ってきます。
 花が香りを出すときは、受粉期到来ということ。香りに誘われてたくさんの虫がやってきて、受粉を促します。
 このネムノキの甘い香りはずっと心に残っていました。

「あの甘い香りを凝縮して手に入れることはできないものだろうか」

 色々調べていくうちに、樹木やハーブなどの香りの発する油部分を精油(エッセンシャルオイル)と呼び、それを抽出する方法もあることがわかりました。
 一番簡単な抽出方法を「水蒸気蒸留法」といいます。

 原理は焼酎の蒸留と一緒で、釜の中に蒸留したい樹木と水を入れ、密封して熱を加えると香りがついた蒸気が発生します。この蒸気を冷やして集めると、油部分と水部分に分離します。
 この油部分が精油、水の部分が芳香蒸留水(ハーブウォーター)です。

 原理はわかったので、一度やってみよう。
 家にある鍋を改造して、山からとってきた杉の葉を入れて、一度蒸留してみました。

 すると部屋中いっぱい「もうまるで森林の中!!」

 といわんばかりの、とてもいい香りで部屋が満たされました。
 そうです。せっかく蒸留された精油が、すべて部屋に飛散してしまったんです。だから部屋はとてもいい香りになったのに、まったく精油は溜まらず。

「これは、ちゃんとした蒸留器を買ったほうがいいね」
 そこで、蒸留器を一つ買ってみることにしました。ひのき風呂に入りたいし。

2.ミツバチは最後の産卵期、これから蜂団子ができます



 いま、ミツバチの養蜂箱では今年最後の産卵が行われています。
 10月半ばごろから産卵したたミツバチは、来年の春、梅の花が咲き終わるくらいまで巣箱を守ります。

 春から夏にかけての採蜜最盛期には、ミツバチの寿命はわずか20〜30日くらいしかありません。毎日毎日、せっせせっせと飛び回るため、命を浪費してしまい寿命が短くなっちゃうんですね。

 逆に、今産卵しているミツバチは、来年の春までの数か月間生き続けて、春の立ち上がりに非常に貢献します。
 春、花が咲き始めると、このミツバチたちが飛び出して蜜を集めます。同時に女王バチは新たに産卵を始めて、春の隆盛を迎えるのです。

 ですからいまの時期、どれだけ産卵するか、どれだけ冬を越せるのか、その数がダイレクトに春の採蜜量に響いてくるのです。ある意味、いまミツバチさんへのお世話が一番大切、と言っても過言ではありません。

 これから寒い日になると、ミツバチさんたちは、巣箱から出てこなくなります。巣箱の中で「蜂団子(はちだんご)」と呼ばれる球体状のかたまりになっています。おしくらまんじゅうよろしく、ミツバチさんたちは押し合いへし合い、中に入ろう入ろうとします。中のほうが暖かいからですね。
 そうやって団子ができ、保温効果が生まれます。もちろん一番外にミツバチさんは寒いですから、中に入ろうとします。その繰り返しで、さらに団子内にエネルギーが生まれて暖かくなるのです。


3.アロマボトルのお話 1(すべて自家製です)



 ビーファームでは「アロマボトル」というものも販売しております。

 本体部分が木、ボトル部分がステンレスです。ボトル部分には、キーホルダーかペンダントをつけることができ、お買上の際にはどちらがいいかを選ぶことができます。
 ステンレス部分に小さな穴があいており、そこから香りが外に出る仕組みになっています。木の部分は中がくりぬいて、そこに綿が入っています。綿に染み込ませるように精油を数滴入れると、10日から2週間ほど香りが持続します。

 実はこのアロマボトル、すべて手作りです。どこから手作りかというと、山に行って木を採ってくるところからです。
 山から採ってきた木は、いい大きさにカットしたあと、半年ほど乾燥させます。もちろん、慌てて乾燥したいときには乾燥機も使いますが、できるだけ自然乾燥をしています。

 山から採る材木は、山桜、ブナ、クロモジ、竹(根の部分)、けやきなどで、それぞれ材質の触感や硬さ、色など様々です。
 また、山から採った木以外にも「唐木」と呼ばれる造形用の樹木もあります。ビーフウッド、ボコーテ、ウォルナット、パープルハート、縞黒檀、パロサント、花梨などです。こちらは、板を材木屋さんで買ってきます。

 このそれぞれの木の特徴などは、今後順を追って紹介していこうと思います。

 実はこのアロマボトル、いま売切れがたくさんあるかと思います。
 夫が夜な夜な、一人でアロマボトルを作っているのですけども、養蜂が忙しくなると、とてもアロマボトルにまでは手が回らない、ということで春までにストックしていたものがどんどんと売切れていき、いまが一番売切れが多い状態になっています。

 いま、真夜中に夫の部屋から「ガーーーーー」と大きな音が聞こえます。
 木を削っている音で、まわりに民家があったり、都会のアパート・マンションとかだと騒音問題で大騒ぎになるんだろうなあ、田舎の一軒家でよかったなあ、とこの音を聞くたびに思います。

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