第20話 「農薬にやられるとミツバチは帰ってこない」の巻


★ もくじ ★━━━━━━━━━━━★

1.ミツバチの天敵、農作物の農薬のお話
2.ビーファームで育てている和ハッカのお話

★━━━━━━━━━━━━━━━━━★


 昨日は、楽天の勉強会(という名の親睦会)に出席するため、久々に都会に出ました。
 いつ行っても、大阪駅は迷います。昔は、大阪第一ビルとか第二ビルのあたりは地下迷路みたいだ、と思っていたのですけども、もはや大阪駅周辺もジャングルに感じてしまいました。
 もちろん会場に行くのは迷いました。

1.ミツバチの天敵、農作物の農薬のお話


 ミツバチの天敵にはもう一つ、農薬があります。以前、ミツバチに直接かける農薬のお話をしましたが、今回は農作物に関する農薬です。

 農薬は、農作物に被害を与える害虫を駆除するために使われます。ただ、農薬がその害虫だけをピンスポットに退治できればいいのですけど、てんとう虫とかカマキリといった益虫までも駆除してしまいます。
 それに、その農薬が徐々に効かなくなる、という問題も出てきます。その農薬に強い害虫が生まれて、その害虫の天下になってしまうからそれよりも強い農薬を使う、といなるわけです。

 現在の日本では「ネオニコチノイド系」という農薬が多く使われています。これは欧米の多くの国が禁止している農薬なのですが、なぜか日本ではOKが出ている強力な農薬です。

 ネオニコチノイド系の農薬は、散布されるとその農作物の葉などから吸収されて、全草にいきわたります。そのいきわたった農薬成分で、農作物を食い荒らした害虫がことごとくやられてしまう方法です。
 ところがそのネオニコチノイド、農産物が咲かせる花や実にも少量含まれてしまうのです。

 当然、その花粉や蜜を吸ったミツバチもやられてしまうことになり、これが現在「日本ミツバチの数が非常に減ってきている」と言われている最大の要因の一つなのです。
 ミツバチの数が減ると、日本中の農作物は多大な被害を受けることになります。ミツバチなどの蜜を求める虫が、花から花へ移動するごとに受粉が行われ、それで実が実って農作物の収穫へとなるわけですから。

 ですから、ネオニコチノイド系の農薬を使うことが、ゆくゆくは日本の農業を壊滅的な被害へと導くかもしれない、そういう危険性さえあるのですが、なかなか遠い将来のことは人は見えませんので、その議論が熟さないのが現状です。

 養蜂家の飼っているミツバチも、農作物に散布される農薬の被害を受けることが多くあります。農薬にやられるとミツバチは、巣箱に帰ってこられません。途中で力尽きてしまうのですね。

 だから、養蜂家は「あれ?ミツバチの数が非常に減っている。どうしたんだろう」という感じの気づき方しかできない、ということでもあります。「ほかの理由かもしれないけど、たぶん農薬にやられたんだろう」と、確証は得られないものの、そう推察する以外にない、という感じになります。

 ビーファームでも、丹波篠山市や加東市から「いついつ、この地域で農薬の散布があります」という連絡はいただくようにしています。ただ、それでもネオニコチノイド系の農薬は、散布後もずっと被害を受ける可能性が高いので、できるだけ山奥の、そういった農作物が少ないところで飼育するようにしています。

 ただそれはそれで、スズメバチが大量にいて、そちらの被害対策が必死なのですけども、被害を考えるとこのほうがいい、と思っています。


2.ビーファームで育てている和ハッカのお話



 先日、今年最後の和ハッカの蒸留が終わりました。

 ビーファームで栽培している和ハッカは「ホクト」という、日本でもっとも多く栽培されている品種です。たいてい、一番栽培されている品種というのは、もっとも丈夫で生育が容易いものと相場が決まっているので、なにかの栽培の際には一番栽培されている品種を選ぶようにしています。

 和ハッカはミントの仲間で、蒸留すると「メントール」という成分が多く含まれた精油が抽出されます。ミントに比べると、優しい香りなのですけども、甘い部分がすくないのも特徴的です。
 日本原産のハーブは、繊細な香りのものが多いですね。

 この和ハッカは、日本ハッカとも呼ばれ、明治から昭和初期にかけて、北海道や岡山県などでたくさん栽培されて、蒸留して抽出された「メントール」が海外にたくさん輸出されていました。
 このメントールを使って作られた製品がアメリカの「メンソレータム」です。
 ハッカ(ミント)の生産量は、一時世界シェアの7割を誇るまでになったそうです。

 ただ、メントールは化学的に簡単に合成することが可能で、合成ハッカが登場したり、インドやブラジル産などの安価なハッカに押されたりして、日本のハッカ産業は衰退していったんだそうです。

 そんな歴史のある和ハッカ。
 ビーファームでも、一つの畑を使って栽培していますが、とても丈夫でよく生育します。ミントを栽培された方なら経験あるかと思いますが、地植えしてしまうと悪魔のハーブと呼ばれるほどミントの陣地を広げてしまうのは、ハッカも同様です。

 また、丹波篠山は冬に寒いのですけども、和ハッカは寒さにも強く、春になるとたくさんの芽がふきます。


 抽出された精油が、少し手につくと、その部分が「スーーー」と冷え冷えしてきます。これがメントールが気化するときの現象です。
 アロマスプレーにすると、夏場はとても涼しくて気持ちのよいスプレーができます。
 ただ、これからの季節は体にふりかけると少し寒くなるかもしれませんね。

 これからの季節の和ハッカアロマスプレーは、お部屋やクルマの中、就寝前の枕などにかけて、その清涼感を味わうのが一番いいのかもしれません。

日記 目次に戻る