第17話 「今年最後のレモングラス蒸留」の巻


★ もくじ ★━━━━━━━━━━━★

1.今年最後のレモングラス蒸留
2.ミツバチの大敵、ダニの退治

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 ビーファームではようやく、クロモジ蒸留が一段落つきました。
 いまの季節から晩秋にかけて、樹木系の精油の抽出量は多くなってきます。これは、冬を乗り切るために必要な養分を蓄えているからなのかな、と勝手に解釈しています。

 香りも季節によって微妙に変わってきます。先日、ガスクロマトグラフという成分を分析できる機械を導入しましたので、そういった季節による香りの微妙な違いをさらに詳しくしらべていこうかと思っています。

1.今年最後のレモングラス蒸留


 レモングラスってタイ料理で有名ですよね。見た目ススキなのですけど、全草からレモンの香りがする不思議な草です。
 タイのような熱帯地方では、まさにススキのようにあちこちに雑草のように自生しています。タイで草刈大会をすると、あたり一面レモンのいい香りがするのかもしれません。

 今年は夏が暑くて長かったので、ビーファームのある丹波篠山でもレモングラスの生育がすごくて、もうボーボー。先日から、今年最後の刈り取りをしているのですけど、夫が「今年のレモングラス株は太くて背が高い」と騒いでいました。

 そのため、工房にある蒸留器がこの一週間フル稼働状態で、まだレモングラスが山積みです。もちろん、工房はレモンの香りで満たされています。最近、お手伝いに来てくれるスタッフがいるのですけども、その人がおうちに帰ると「あー、今日ビーファーム行ったなー」と言われるのだそうです。香りが服についているみたいで。

 そこでついに、ビーファームでは蒸留器をもう一つ購入することを決めました。ただ、夫が「やっぱりもう一台欲しい」と言ってきたのが10月1日。
 1日遅いやろー。なんで増税前に言うてくれやんのー。
 とはいうものの、よく利用している業者なので、少しおまけしてもらいました。

 これで今年のレモングラス蒸留は終わりです。
 これで来年の春まで乗り切れますように。


2.ミツバチの大敵、ダニの退治



 以前、ミツバチの大敵であるスズメバチのお話をしましたが、ミツバチの大敵には大きく4つありまして、スズメバチ、ダニ、作物に使う農薬、野生動物です。
 野生動物のお話はまた次回以降にするとして、今回はダニのお話。

 ミツバチに寄生するダニが、ミツバチを全滅させてしまいます。
 ダニは卵を、ミツバチがサナギになるときに産み付けて、ミツバチの成長といっしょにダニも成長していきます。その過程でミツバチの栄養をたっぷりと吸い尽くすので、よわっちいミツバチばかりになってしまい、最終的にはそのミツバチの巣は全滅してしまいます。

 だから、もっともいい方法は、ダニを寄せ付けなければいいのですけども、ミツバチはあちこち飛び回ります。お花のところでは、他の昆虫と背中をすりあわせることもあるでしょうし、中には他のミツバチとも触れ合うこともあります。
 その時にダニがくっついてくるので、「ミツバチからダニをゼロにすること」は不可能です。

 だから、少しでもダニを少なくする。

 そのために、多くの養蜂家はアピパールとかアピスタンといった農薬を使います。
 これで巣箱のダニは一網打尽になるのですけども、時々、その農薬を「屁とも思わないダニ」が誕生します。一度誕生すると、そのダニの天下になるので、その農薬がまったく効かなくなるのです。
 すると、さらに強い農薬、さらに強い農薬、といたちごっこになってしまい、かなり強い農薬を使わざるを得なくなります。

 もちろん農薬業者は「秋に農薬を使うのだから、春以降の採蜜時にはこの農薬はハチミツには入りませんよ」とはいいます。
 ただ、たとえ農薬がハチミツに入らなかったとしても、どんどんと強いダニが誕生してしまうので、最終的にはミツバチが全滅してしまいかねません。

 そこで、ビーファームでは「農薬を使わない養蜂」をしています。
 農薬の代わりに「シュウ酸」を使います。

 シュウ酸とは、どんな野菜にも微量は含まれていて、特に小松菜やほうれん草に多く含まれている食品の一種です。
 このシュウ酸にダニは弱くて、ミツバチはシュウ酸は何とも思わないのです。だから、夏から秋、秋から冬と、幾度かに分けて、シュウ酸を吹き付けるのです。ただ、冒頭でも述べたように、ダニはミツバチがサナギになろうとする幼虫に卵を産み付けるので、サナギの間はシュウ酸が防御されます。だから幾度かに分けて吹き付けるのです。

 この作業が大変で、「あーーー、もっと楽な方法を考えればよかったーーー」と、夫は時折弱音を吐いているのですけども、まあこれが一番自然に優しく、そしてダニも物理的にやっつけるので、抗体ができないですし、長い目でみれば一番いい方法じゃないかな、と思っています。

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